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臓腑と時間の関係 2)

一日の中には、以下のようにそれぞれの臓腑の活動性が高まる時間(時間帯)がある。
と前回紹介した。

・0時(23時~1時)=胆   ⇔  ・12時(11時~13時)=心
・2時(1時~3時) =肝   ⇔  ・14時(13時~15時)=小腸
・4時(3時~5時) =肺   ⇔  ・16時(15時~17時)=膀胱
・6時(5時~7時) =大腸 ⇔  ・18時(17時~19時)=腎
・8時(7時~9時) =胃   ⇔  ・20時(19時~21時)=心包(しんぽう)
・10時(9時~11) =脾   ⇔  ・22時(21時~23時)=三焦(さんしょう)

例えば、0時頃は胆の働きが活動的になり、心は働きにくくなる時間といえる。
片方が働けば対となる臓あるいは腑は、働けなくなるシーソーのような関係があるという。

夜中に筋肉がけいれん(こむら返り)して困る・・・』

『昼間はさほど痛くないのに、夜中に痛みで目が覚める・・・』

といった夜間に生じる痛みの訴えを患者さんから聞くことが時々ある。

「痛みが生じるのは、夜中の何時頃ですか?」と患者さんに尋ねると、

『夜中の2時か3時頃に痛みで目が覚める・・・』
と答える患者さんが多い。

私とご縁のある患者さんの多くは、私と出会う前から整形外科や内科に通い、温熱療法などの物理療法、理学療法士による運動療法や徒手療法を受けたり、湿布薬や鎮痛剤の処方、生活指導を受けたりしている。

このような症状を訴える患者さんには、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)という漢方薬がかなりの割合で処方されている印象がある。

それでもなかなか良くならなかった・・・。と言う時に、患者さんのご家族やかかりつけ医、担当ケアマネジャーの紹介から担当させていただくことがある。

ただ、夜間の痛みが主たる訴えである時は、治療させていただく時間帯(昼間)には痛みの訴えがほとんどないのである・・・。

こんな時に、東洋医学の理論が役立つことは少なくない。

『夜中の2時か3時頃に痛みで目が覚める・・・』という訴えがある時点で、臓腑と時間の関係から

肝の気が不足することによって筋への血(けつ)の供給に異常が出ているのではないか・・・?
と推察することができる。

肝には血を貯蔵する役割があり、肝気の作用で血量を調節し、昼間は血を必要とする器官(筋、目など)に送り出し、夜間は各臓腑に戻す。

この役割に異常が生じると「夜間のこむら返り」や「不眠」の要因になると東洋医学では考える。

このような時は、四診を行い、

顔色舌の状態はどうか?
・血と関係の深い「」、「」、「」、「」の経脈を中心に反応の強い経穴(ツボ)はないか?
・腹立たしいことやイライラすることなどストレスを抱えていないか?
  ⇒ 「怒」の感情は、肝の働きを低下させ、肝が貯蔵する血を消耗しやすくなる。

など治療法を決定するための情報を収集する。

四診の結果、臓腑と時間の関係の通り、「肝」がポイントになりそうであれば、経脈や経穴に対するアプローチに加えて、できる範囲で良いので

・レバーやホウレン草、小松菜などの肝を養う食材を適量食べる。
・酢の物やレモン、梅干しなどの酸味のあるものを適量食べる。
  ⇒ 酸味は「肝」を養う。
・ストレスの解消を図る。

などを試していただく。

実際に、「夜、眠れるようになった!」と言っていただくと、「東洋医学も面白いな」と改めて思う。

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臓腑と時間の関係 1)

患者さんとの会話の中で、時々残念な報告を受けることがある。

つい先日も、ある患者さんと話していると、『昨日、甥が亡くなったって連絡があってねぇ・・・』とご家族の死を残念そうに教えてくれた。

『遠くに住んでいるから葬儀には、息子夫婦に行ってもらうことにした』

『まだ、50歳半ばで、元気やったのに・・・』

『夕食後、お風呂に入ってた時に心臓発作で死んでもたんやて・・・』

『日頃元気でも、人間の人生なんてわからんもんやなぁ・・・』

という患者さんの話を聞きながら、以前参加した講習会で講師の先生が教えてくれたことを思い出した。

「できれば、夕食を食べた直後にお風呂に入らない方がいいと思いますよ」

その講習会は、東洋医学の理論に基づいた痛みに対する治療法に関するものだったのだが臓腑と時間の関係を説明してくれた時に講師の先生が口にした言葉だ。

一日の中には、それぞれの臓腑の活動性が高まる時間(時間帯)がある。

・0時(23時~1時)=胆   ⇔  ・12時(11時~13時)=心
・2時(1時~3時) =肝   ⇔  ・14時(13時~15時)=小腸
・4時(3時~5時) =肺   ⇔  ・16時(15時~17時)=膀胱
・6時(5時~7時) =大腸 ⇔  ・18時(17時~19時)=腎
・8時(7時~9時) =胃   ⇔  ・20時(19時~21時)=心包(しんぽう)
・10時(9時~11) =脾   ⇔  ・22時(21時~23時)=三焦(さんしょう)

例えば、0時頃は胆の働きが活動的になり、心は働きにくくなる時間といえる。
片方が働けば対となる臓あるいは腑は、働けなくなるシーソーのような関係があるという。

「夕食直後にお風呂に入らない方が良い」というのは、夕食時(20時頃)の胃が働きにくくなる時間に食事をした上に入浴することで、心を守る働きをする心包に過剰な負担がかかり(胃実心包虚:いじつしんぽうきょ)心不全を起こすことがあるからだ。

その先生によれば、夏に海水浴で溺死するよりも冬に自宅や温泉で豪華な夕食を食べた後、熱い風呂に入って溺死する可能性が高いし、実際に多いとのことだ。

「夕食直後に入浴する」というのは、現代医学的にも勧められたものではないのは言うまでもない。

しかし、臓腑と時間の関係を見ると「胃」は、朝食の時間帯に活動的ということからも「朝食をしっかり摂ること」は、東洋医学的にも重要なようだ。

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東洋医学における病気の原因(3) 「不内外因」

東洋医学(中医学)では、病気の原因を「内因」「外因」「不内外因」に大別する。

「不内外因:ふないがいいんとは、内因にも外因にも属さない病気の原因で、
飲食物の量と質の過不足、労働・休養の過不足、房事(ぼうじ:性交渉)の不節制、外傷など
を指す。

◆飲食 量の過不足
人体の気のほとんどは飲食物に由来しているため、飲食物の摂取が不足すると、気が不足して病気に対する抵抗力が失われる。反対に過飲や過食をすれば、消化吸収に重要な役割を果たす脾胃に負担がかかる。
それが続けば、腹痛膨満感乳幼児ではよく泣くなどの症状が現れる。

◆飲食 質の偏り 
質の偏りは、「五味」(酸・苦・甘・辛・鹹 ※鹹:カン、ケン 塩の辛さのこと)の偏食と身体を冷やすもの温めるものの偏食に分けられる。五味をほどよく食べれば、それぞれ特定の五臓を養う。

 ・酸味 - 肝
 ・苦味 - 心
 ・甘味 - 脾
 ・辛味 - 肺
 ・鹹味 - 腎

特定の味を食べ過ぎたり、不足したりすると病気の原因となる。
同様に身体を冷やすものと温めるものの偏食も病気の原因となる(⇒
「陰性」の食べ物と「陽性」の食べ物)。 

◆労働と休養
適度の労働や運動は、気血の巡りを良くし、筋や骨を強化する。また、十分な休養は疲労を除き、体力を回復する。しかし、極端な肉体の酷使や長時間働いた後に、休養を十分取らないと病気を引き起こす原因となる。
反対に長期間身体を動かさないと、気血の巡りが悪くなり脾胃の働きが衰える。

◆偏った姿勢と動作 (⇒「五臓」の機能① 「心」等を参照)
特定の姿勢や動作を長く続けると、特定の五臓の機能が損なわれる。

 ・久行(きゅうぎょう):長期間の歩行 ⇒ 「肝」を損なう。
 ・久視(きゅうし):長期間の精神集中を必要とする作業 ⇒ 「心」を損なう。
 ・久坐(きゅうざ):長期間の座り作業 ⇒ 「脾」を損なう。
 ・久臥(きゅうが)
:長期間の臥位(寝ている状態) ⇒ 「肺」を損なう。
 ・久立(きゅうりつ)
:長期間の立ち作業 ⇒ 「腎」を損なう。

長時間の歩行や走行をするには、「肝」の機能が充実していなければ行えない
。また、長時間の精神的集中や緊張、ストレスは、現代医学でいう心疾患発生の危険性を高めるすぐに疲れたと言ってしゃがみ込んでしまう若者は、「腎」の気(精)が不足している。と東洋医学では考える。

◆房事の不節制
房事とは性交渉のことを指す。房事の不節制は、腎に蔵されている精を消耗すると考える。

◆外傷
打撲、捻挫、切傷、骨折などの外傷によって、出血や痛み、腫れ、変形などが現れるだけでなく、東洋医学では外傷によって体内に生じた悪血(おけつ)が、五臓を傷つけ重大な病気を引き起こすことがあると考える。

「内因」「外因」と共に、普段の食事や労働内容・環境を見直すことが、長く悩んでいる心身の不調を改善するきっかけの一つになるかもしれない。

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東洋医学における病気の原因(2) 「外因」

東洋医学(中医学)では、病気の原因を「内因」「外因」「不内外因」に大別する。

「外因」とは、季節や気候の変化が発病の原因となることを指す。

外因は、風・暑・火・湿・燥・寒 の6種に分けられ、以下のようにそれぞれ関係の深い季節、臓腑がある。

・春 ⇒ 肝、胆 - 風  
・夏 ⇒ 心、小腸 - 暑・火  
・長夏(梅雨や秋の長雨の時季) ⇒脾、胃 - 湿  
・秋 ⇒ 肺、大腸 - 燥
・冬 ⇒ 腎、膀胱 - 寒


風・暑・火・湿・燥・寒の気は、もともと万物を発生、変化させる「気」であるが、
この六気に過剰や不足、季節に反して出現する(例えば、クーラーや暖房などの過剰な利用)などの異常や
人間の正常な適応力や抵抗力が衰えていると、六気が発病の原因となる。

病気を引き起こす邪気に転じた六気の外因を、「六淫:りくいん」または「外邪:がいじゃ」と呼ぶ。

私達が身近に使う病名の中にも、東洋医学(中医学)の疾病観が色濃く残っているものがある。

「風邪:かぜ」
である。

風の気が発病の原因となった時、風邪(ふうじゃ)となり、頭痛や鼻づまり、咽喉痛、発熱などを引き起こす。
他の邪気と一緒に発病の原因となることも多く、その場合はより激しい症状となる。

例えば寒邪を伴う時は、悪寒や冷え、筋のひきつり、
湿邪を伴う時は、下痢や関節水腫、関節の痛み、浮腫、身体のだるさなどの症状が加わる。

身体に何らかの異常や不調が生じた時は、身体の機能異常にのみ注意するのではなく、心理状態(内因)季節・気候による影響(外因)にも注意することが健康を保つヒントになるかもしれない。

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東洋医学における病気の原因(1) 「内因」

東洋医学(中医学)では、病気の原因を「内因」「外因」「不内外因」に大別する。

「内因」とは心理状態による影響を指す。
極度の感情の変化は、臓(肝・心・脾・肺・腎)腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱)に多くの負担をもたらす。
代表的な感情は7種(怒・喜・思・悲・憂・恐・驚)あり、内因は七情(しちじょう)とも言う。

臓腑と感情には以下のような関係がある。

・肝、胆 - 怒る
・心、小腸 - 喜ぶ
・脾、胃 - 思う、悲しむ
・肺、大腸 - 悩む
・腎、膀胱 - 恐れる、驚く


例えば、肝に何らかの異常がある人はイライラして落ち着かない。あるいは、怒りやすく短気。
神経質で細かい事まで気になる。あるいは、少しのことで傷つき、くよくよする人は脾、胃に異常が生じやすく下痢や腹痛などの消化器系疾患が出現しやすい
傾向がある。

そのため患者さんの心理状態が治療方法や治療部位を決定する際の重要な情報となる。

レントゲンやCT、MRIなどの画像診断でも特に異常がないと言われたが、痛い・・・。
注射や薬による痛み止めの治療を長く受けてきたが、なかなか痛みが引かない・・・。など

診断や治療の結果、なかなか痛みや心身の不調が改善しない時に、東洋医学的な診断が役立つ時がある。

患者さんとの会話の中で、「内因」が見つかることもあれば、触診中に特定の臓腑と関係するツボに生じる強い圧痛などから「内因」が見つかることもある。

肝に関係するツボに視診や触診で異常がある時「最近、イライラしたり緊張をすることが多くありませんか?」と何気なく尋ねると『えっ!?なぜわかるんですか!?』と驚かれることが多い。
そのような時は、肝に関係するツボや部位から治療することでなかなか改善しなかった痛みが劇的に改善することがある。

例えば、患者さんの訴えが「肩関節の痛み」なのに、足の甲にあるツボに鍼やお灸、指先による圧迫をすることで痛みが少なくなったり、なくなったりする。

不思議そうにしている患者さんに「この治療で痛みが少なくなったということは、イライラや緊張が続く生活が痛みの原因の一つになっているかもしれませんね」と説明しながら、未だに私自身も不思議に思っている。

ただ、やはり心理的な状態(感情)と身体の調子が密接に関係していることは確かだろう。
感情が適切に表出できることで、痛みをはじめ、身体の不調が軽減することは多い。

患者さんの心理状態に少しでも近づくためには、問診とコミュニケーション能力が非常に重要なのだと改めて感じる。

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プロフィール

つじもと鍼灸院


辻本 友樹
(Tomoki Tsujimoto)

◎つじもと鍼灸院(2008年~)
◎GKアスリー(2017年~)

◇はり師、きゅう師
◇理学療法士
◇社会福祉士
◇大麻飾り職人 等

My LifeWorks
☆アドラー心理学
☆麻
☆マッケンジー法

よろしくお願いします!

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