中学生の褒め言葉

夏休みも終盤。

患者さんの中には、三世代で同居されている方もいる。

普段は、顔を合わせることもないが、夏休みになると患者さんのお孫さんと顔を会わせる機会がある。

先日、週に1回訪問している患者さんのお宅に伺い、部屋に入るといつものようにベッドに横になっている患者さんの横にお孫さんが立っていた。

私が部屋に入って「おはようございます!」と挨拶すると、お孫さんが緊張した様子で、『おはようございます。今日、おじいちゃんの治療を見せてもらっていいですか?』と聞いてきた。

「もちろん!どうぞ~!」と答え、患者さんとお孫さんに話しかけながらいつものように治療を開始した。

普段の治療の様子を見ていただいた方が良いと思ったので、いつものように会話をしながら「はり・きゅうの治療」と起き上がりと座位保持の練習を行った。

この患者さんは、数年前に脳梗塞を発症し、ほぼ寝たきり状態。言語障害もあり、発語はできるもののやや聞き取りづらい。

この患者さんとは約1年の付き合いになるが、いつの間にか患者さんが言っていることが分かり、冗談を交わせる関係になっていた。

中学生のお孫さんが、治療の様子を見てみたいと思ったのは、前回私が訪問させていただいた時に、おじいさんと話して笑っている私の声が聞こえ、楽しそうだったからだそうだ。

お孫さんが言うには、おじいちゃんが脳梗塞で倒れて以来、一緒に住んでいるものの、おじいちゃんの言葉が聞き取りづらく何を言っているのか今一つわからないとのことだった。

おじちゃんの言葉が分かるのは家の中では、おばあちゃんだけ。

だから、いつも間にかおじいちゃんにあまり近づかなくなっていたそうだ。

週に1回しか来ない私が、何故、おじいちゃんと楽しそうに話せるのかが不思議だったらしく、

『なんで、先生はおじいちゃんが何を言っているのか分かるの??』

と聞かれたのでちょっと困ったが、最初、この患者さんと出会った時のことを思い出してみた。

確かに、私も最初は患者さんが何を言っているのか、さっぱり聞き取れなかった

しかし、何かを伝えてくれようと話してくれるので、理解できるまで何度も聞き直した。

そして、こちらからも治療をしながら積極的に話しかけた

意思の疎通ができた時の喜びをお互いに声と笑顔で伝え合い、それを何度も繰り返してきたことを思い出した。

そのうちに週に1回ではあったが、いつの間にか患者さんが言っていることが分かるようになっていた。

「おじいちゃんが言っていることを知りたい!と思っているからかなぁ。」

「戦争の話とか、若いころの仕事の話とか聞いてみ~凄いでぇ。」

「聞き取れなかったら、何回でも聞いたらええねん。おじいちゃんの声のリハビリになるから。」

「おじいちゃんと同じ家に住んでるんやから、話したい!と思っておじいちゃんと話をしたら分かるようになると思うよ。」

とちょっと偉そうに助言してみた。

おじいちゃんが嬉しそうな顔をしてくれていたのが印象的だった。

治療を終え、お孫さんが玄関まで見送りにきてくれた。

「お邪魔しました。またね!」と私が言うと、お孫さんが、

『先生って凄いね。おじいちゃんと話せるし、笑わせるし!』

『おじいちゃんと僕と話しながら、手が動いてた。話しながら治療もできるって凄いね!』

と最後に嬉しい褒め言葉をもらった。

独立して働いていると、自らの成長を実感する機会は少ない。

成長など実感する必要はないのかもしれないが、中学生にもらった嬉しい褒め言葉だった。
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プロフィール

つじもと鍼灸院

辻本 友樹(Tomoki Tsujimoto)
◇はり師、きゅう師
◇理学療法士
◇社会福祉士
◇1級電磁波測定士 等
神戸で出張治療に特化した
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